Radio Propagation -音楽レビューブログ

不定期更新音楽レビューブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

有終の美、並行世界 Balloon at dawn『Tide』

Tide (DFRC-060)関西を拠点とする日本若手ドリームポップの良心Balloon at dawnの最初で最後となるフルアルバム『Tide』がDead Funny Recordsよりにリリースされた。Balloon at dawnはシンセフレーズを効果的に用いて、この手のドリームポップバンドが陥りが…

ジャンル分け不能 DRUGONDRAGON『どっかの誰か 誰かの何か』

どっかの誰か 誰かの何か念願の帰還。 狂気のバンドbronbabaのフロントマン西方龍のソロ、DRUGONDRAGON『どっかの誰か 誰かの何か』が 今乗りに乗ってるVirgin Babylon Recordsよりリリースされた。bronbabaは街、人を残酷なほどリアルに表現していたバンド…

忘れてた何かを取り戻す my letter『僕のミュージックマシーン』

僕のミュージックマシーンかなり更新が開いてしまった。更新していなかった間、音楽を聴いていなかったわけではなく、自分のやっているバンドの音源を作成していたので、少しチェックの頻度が減ってしまった。今回レビューするのは、アートパンクとも評され…

春に、日常に彩りを haruka nakamura『アイル』

アイルharuka nakamuraの春をイメージした全6曲入りep作品『アイル』。 ジャケットが昨今めっきりみなくなった8cm 短冊CDジャケット仕様となっていてなんとも可愛らしい。アルバム『音楽のある風景』『光』と最近続けてきた“PIANO ENSEMBLE”としての活動に区…

痛いくらいの瑞々しさ Gingerlys『Gingerlys』

Gingerlys2017年作品だが今の季節にぴったりだったので。 ニューヨーク/ブルックリンを拠点とする女性vo 5人組ギターポップバンドGingerlysのセルフタイトルアルバムだ。 本作はアメリカの名門レーベルTopshelf Recordsからのリリースとなっている。 個人的…

uri gagarn『For』は日本インディーズを救う歴史的な一枚になる

For我らが日本インディーズの良心 uri gagarnが約5年振りにもなるニューアルバム『For』をリリースした。 以前発売されたep『Face』やシングル『Few/Owl』を経てまさに待望のリリースである。今作を一言で表すならば、最小限の手段の中の自由さだ。 音の隙間…

元Fugaziリズム隊の新バンド The Messthetics『The Messthetics』がオルタナの傑作だった

Messthetics元Fugaziメンバーであるジョー・ラリー、ブレンダン・キャンティが新バンドThe Messtheticsを結成した。 そんなビッグニュースか飛び込んで来たのは年明けて暫く経ってからだっただろうか。 Fugaziには一種の崇拝とも言える憧れを持っていて、特…

変わることのない良さがある Yo La Tengo 『There's A Riot Goin' On』

There's A Riot Going On [帯解説・歌詞対訳 / オリジナルステッカー封入 / 国内盤] (OLE13482)USインディーの生ける伝説、Yo La Tengoのオリジナルアルバムとしては5年振りの新譜『There's A Riot Goin' On』がリリースされた。この新譜タイトルはSly & The…

3月は何故かジャズ強化月間だったので記録しておく

3月の新譜がまだ買いに行けていない。というのも、年度末の忙しなさによるものか、自宅にいる間癒しを求めてひたすらジャズのアルバムを掛けていたからである。その中でよく聴いた4枚を備忘録として書いておこうという次第だ。 正直超有名版しか聴いていない…

くるり新曲『その線は水平線』は10年後も聴いていたい名曲

その線は水平線くるりほどメンバーチェンジが激しいながらも、自身の音楽性を崩さず評価されるバンドもいない。くるり通算の31枚目シングルとなる『その線は水平線』。 MVを見て、これはアルバムを待ちきれないとなり購入を決めた。シングルを買うのは何年振…

堪らない中毒性 台風クラブ『初期の台風クラブ』

初期の台風クラブ京都の3ピース日本語ロックバンド、台風クラブの1stアルバム『初期の台風クラブ』 予備知識なしで手に取った今作だが、予想以上に聴いてしまっているので、これはレビューしておこうという次第である。音楽性でいえば、古き良き日本語ロック…

The National『Sleep Well Beast 』USインディー重鎮によるロックの回答

SLEEP WELL BEAST [CD]2017年聴き逃していて後悔した音源第1位である。 USインディー重鎮として貫禄が出てきたThe Nationalによる約4年振りになるフルアルバム『Sleep Well Beast 』。話題になっていたのになぜかタイミングが合わなくてスルーしていたが、MV…

Rhye『Blood』は感傷的に浸れる大傑作

Bloodもうジャケットからして手に取らない理由がない。 LAのソウルユニットRhyeによるセカンドアルバム『Blood』。 2018年の新譜の中でもクオリティ・注目度は群を抜いていて、すでにベストアルバム候補に挙げられる傑作だ。ソウル・R&Bの括りで語られるRhye…

warbear『warbear』を聴くと孤独が好きになる

warbear元Galileo Galileiフロントマン、尾崎雄貴のソロ名義となるwarbear初のアルバムであり、セルフタイトルとなる『warbear』。キャリアとしてはGalileo Galilei最後のアルバム、『Sea and The Darkness』以来のリリースとなり、また彼の音楽を聴けるのは…

次世代のセンス Mom『BABY LIKE A PAPERDRIVER』

https://plusanotraks.bandcamp.com/album/baby-like-a-paperdriver2018年新譜初レビューはbandcamp、勢いに乗っているネットレーベルAno(t)raksより。 驚きの大学生20歳のアーティストMom2作目となる『BABY LIKE A PAPERDRIVER』だ。前作『G・E・E・K 』も…

緻密なアレンジ Kamasi Washington『Harmony of Difference』

Harmony of Difference [帯・解説付 / 国内仕様輸入盤CD] (YTCD171JP)ジャズに関して言えば、あまり普段から漁っているわけではないが、去年LAジャズシーン重要サックス&コンポーザー Kamasi Washingtonの新譜『Harmony of Difference』(というよりはある1曲…

不思議な魅力 Sam Prekop『Sam Prekop』

Sam Prekopこの音源は不思議な魅力を持っている。 The Sea and CakeのボーカルであるSam Prekopのソロアルバム『Sam Prekop』。 (The Sea and Cakeも記事として取り上げられてないのに感はあるが、、)一聴して見るとジャズ・ボサノバっぽく聴こえ、ただジャ…

クール感MAX! Spoon『Hot Thoughts』

Hot Thoughts [帯解説・歌詞対訳 / 初回生産盤のみボーナス・ディスク付 /2枚組紙ジャケ仕様 / 国内盤] (OLE11372)去年出ている新譜の中で、USインディー界隈からはこのバンドを忘れてはいけない。 USインディ20年のベテランバンドのSpoonが約3年振りに新作…

思い入れのある1枚 Galileo Galilei『Sea and The Darkness』

Sea and The Darkness2016年、Galileo Galileiは解散した。 閃光ライオットの初代優勝バンドなんて肩書きは不要といって良いほど、後期の彼らの音楽性は独自のスタイルを貫き、これでもかというほど格好良かった。解散のオフィシャルブログでの発言も印象的…

傑作 The XX『I See You』を聴き逃してはいないか?

I See You [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)去年、ふとよく聴いていたアルバムは何だろうと思い返してみるとThe XX『I See You』に落ち着いた。今までのThe XXは非常に内向性が強く、ベッドルームポップとも形容されるサウンド心地よ…

エレクトロニカ名盤 Telefon Tel Aviv『Fahrenheit Fair Enough』

Fahrenheit Fair Enough [ボーナス・トラック8曲収録・解説付き・正方形紙ジャケット仕様]エレクトロニカを聴き始めたのは私が大学生の頃だっただろうか。風景に溶け込むような音楽を好むようになり、日本のアーティストのAmetsubの辺りから広げ始めたのを覚…

Climb The Mind『チャンネル3』は一種の発明を生み出したと思う

チャンネル3日本のエモを追っていた時期がある。 その時期に出会ったバンド、Climb The Mindは今でも聴き続けているバンドのひとつだ。 去年2月に出した久しぶりのアルバム『チャンネル3』。タイムリーではないが、帰省したときに再度聴きなおしてみたらぴっ…