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元Fugaziリズム隊の新バンド The Messthetics『The Messthetics』がオルタナの傑作だった

Messthetics
Messthetics

Fugaziメンバーであるジョー・ラリー、ブレンダン・キャンティが新バンドThe Messtheticsを結成した。
そんなビッグニュースか飛び込んで来たのは年明けて暫く経ってからだっただろうか。
Fugaziには一種の崇拝とも言える憧れを持っていて、特にリズム隊が好きだった私は見逃さない訳にはいかなかった。

購入前、アルバム内より一曲“Serpent Tongue”が公開されたため、迷わず視聴した。

正直のところ、かなりストレートなオルタナだと感じた。
この曲調で攻めるなら、やはりイアンのボーカルが恋しくなってしまうなと本音は思ってしまった。
それでも先入観から購入を見送るのは良くないと買うことには決めたのだが。

結果、蓋を開けてみると絶妙なオルタナインストであり、ボーカル欲しいなといった先入観は見事に打ち崩された。
“Serpent Tongue”はアルバム内の中で、最もストレートなアプローチであり、他の曲はミドルテンポが多く、プログレにも形容できるほど複雑な曲や、重く精神的に訴えてくるクリーン主体な曲など、その内容は極めて多種なものだった。

アルバム全体で感じたのは今作のギタリストであるAnthony Pirogのフレーズの引き出しの凄まじさと、ひたすらミニマル進んでいくリズムセクションだ。
キメを重要視する昨今のインストバンドとの大きな違いはまさしくその部分である。

最も気に入った曲は6曲目“The Inner Ocean”だ。
美麗とも言えるギターフレーズとベースフレーズが見事に重なり、ちょっとした違いが楽曲に彩りを与える。
じわじわと魅せる盛り上がりに完全にノックアウトした。

往年のFugaziファンは必聴であるし、インスト・プログレ好きにも刺さる内容だと思う。
2018年上半期 化け物バンドが静かに幕を開けた。

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