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Climb The Mind『チャンネル3』は一種の発明を生み出したと思う

チャンネル3
チャンネル3

日本のエモを追っていた時期がある。
その時期に出会ったバンド、Climb The Mindは今でも聴き続けているバンドのひとつだ。
去年2月に出した久しぶりのアルバム『チャンネル3』。タイムリーではないが、帰省したときに再度聴きなおしてみたらぴったりだったので記事にしてみようと思う。

初期音源集である『とんちんかん』を抜かすと、前作である名盤『ほぞ』のリリースから実に7年振りとなる今作『チャンネル3』。期待せずにはいられなかったのは覚えている。

アルペジオフレーズ主体のギター、メロディトーンを奏でるベース、味わい深い唄。前作と比べてもベテランバンドとして確固たる変わらぬ部分も多い。
だが、今作でClimb The Mindは新たに、ファズギターという武器を前面に出してきたように思える。
前作でも盛り上がり部分で使用することはあったが、ここまで積極的に使用してはなかっただろう。この新たな武器である歪みが、絶妙なノスタルジーを醸し出していてたまらない。

また、音源のミックスに耳を傾けると、かなり独特なバランスで成り立っているのがわかる。
普通のギターロックバンドなら、ドラムとベースが真ん中で土台を支え、ギターサウンドが左右といった感じだろうか。しかし、今作ではギターは右、ベースは左と完全に割り振っており丁度良い具合にギターベースサウンドが調和するようになっている。
また音量に関してもドラムが一番大きく、クラッシュシンバル等の金物類でダイナミクスを表現するようなバランスだ。
中々ここまで攻めたバランスにできるバンドは少ない。このミックスはコード感をそこまで押し出さなくても唄を伝わるという長年の自信によるものだろうか。
これは一種の発明だと興奮した。

最後に2曲、今アルバムのリード曲“ポケットは90年代でいっぱい”と即完売になった7インチEPでも収録された曲“デスマッチ”を下記に貼る。
今後のClimb The Mindの活動に太鼓判を押す間違いない曲だ。

その他アルバム曲も遜色ない出来なので是非チェックしてみて欲しい。
個人的には“タッチ”、“泥棒”あたりがお気に入りだ。

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